「鼠径ヘルニアにならないように予防する方法はありますか?」
外来でも、このようなご質問をいただくことがあります。
結論からお伝えすると、鼠径ヘルニアを完全に予防する方法は現在のところありません。
しかし、日頃の生活習慣を見直すことで、お腹にかかる負担(腹圧)を減らし、発症や悪化のリスクを下げられる可能性があります。
今回は、鼠径ヘルニアの原因と、日常生活で意識したい予防のポイントをご紹介します。
■鼠径ヘルニアはなぜ起こるの?
鼠径ヘルニアは、足の付け根(鼠径部)の筋膜や組織が弱くなり、その隙間から腸や脂肪などが飛び出すことで起こります。
原因は一つではなく、
・加齢による組織の弱化
・生まれつきの体質
・腹圧が繰り返しかかる生活習慣
など、さまざまな要因が重なって発症します。
そのため、「これだけやれば絶対に防げる」という予防法はありません。
■日常生活でできる予防のポイント
① 重い物を持つときは無理をしない
重い荷物を持つと、お腹に強い力がかかります。
仕事や日常生活で重い物を持つ機会がある方は、
・一度に無理をしない
・膝を使って持ち上げる
・周囲の人と協力する
などを心掛けましょう。
② 便秘を予防する
便秘になると排便時に強くいきむことが多くなります。
この「いきみ」は腹圧を高めるため、鼠径ヘルニアの悪化につながる可能性があります。
便秘予防には、
・水分をしっかり摂る
・食物繊維を意識する
・適度な運動を行う
ことが大切です。
③ 咳を放置しない
長期間続く咳も、お腹に繰り返し強い圧力をかけます。
風邪だけでなく、
・喫煙による慢性的な咳
・喘息
・アレルギー
などがある方は、早めに治療を受けましょう。
④ 適正体重を維持する
肥満になると、お腹への負担が大きくなります。
バランスの良い食事と適度な運動で体重を管理することも、健康維持につながります。
⑤ 腹筋を鍛えれば予防できる?
「腹筋を鍛えれば鼠径ヘルニアを予防できますか?」
という質問もよくあります。
適度な運動は健康維持に役立ちますが、腹筋を鍛えることで鼠径ヘルニアを予防できるという医学的根拠は十分ではありません。
一方で、無理な筋力トレーニングや高重量のトレーニングは腹圧を高めるため、すでに鼠径ヘルニアがある方は注意が必要です。
運動について不安がある場合は、医師へ相談しましょう。